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     林さんちのあぐらぐち物語 2009年 弥生4号
       http://www.hayashisanchi.co.jp

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 このメールマガジンは、林さんちの大切なお客様と、ホームページをみて
   林さんちに興味をもっていただいたお客様にお送りしています。
   
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 2009年 弥生4号 _/_/_/_/_/_/_/_/_/

1. 巻頭言

育苗ハウスも、ピンポイントの日程と天候の中、完成。畦塗りも、スタッフ
を大幅増員して順調に進み、トラクターで田起しを開始しました。そして、今
週土曜日、いよいよ第1回目の種まきです。もう、待ったなしの林さんちです。


  在庫メーター     空←――――――――――――――――→満 
超普通じゃないコシヒカリ ■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□
普通じゃないコシヒカリ  ■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□
普通のコシヒカリ     ■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□
ハナエチゼン       ■■■■□□□□□□□□□□□□□□□□
ひとめぼれ       ■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□

             詳しい数字は、メルマガの最後に

2.今週の林さんち・・・・数%しかない勝負の時

 種籾の準備を開始しました。林さんちでは、まず5キロずづに小分けしたメ
ッシュ袋に入った種籾を、7日間水に浸けます。最初の24時間は、エコホー
プと呼ばれる、天然由来薬の200倍液剤に浸けます。そして、種まき2日前
から、催芽器と呼ばれる泡風呂に入れて、芽を少し出してあげます。これで、
種まきOK。しかし、ここまで来るまでに、七転八倒の苦労がありました。

 林さんちの種まきは、5回に分けて行います。30センチ×60センチの苗
箱を、今年は、例年より600箱多い、1万2600箱まきます。1回の種ま
きで、2500〜2600箱を、品種別に播いて行きます。でも、ハウスには
最大で、1万500箱しか入りません。だから5回目に播く、カグラモチの苗
は、田植えをして空いたハウスに入れます。昔は、一気に5回連続で、種まき
をしていたので、こんな芸当は出来ませんでした。今は、前半3回を、3月末
から4月初めに行い、4回目は、4月中旬に、コシヒカリを播き、5回目は、
5月初めにカグラモチを播いています。

 昔は、家族主体での農作業なので、どうしても種まき、田植えの労働力が、
不足してしまうので、バイトの手配できる春休み中や、ゴールデンウィーク中
に、済ましてしまおうと、躍起になって作業をしていました。でも、急いだ仕
事のツケは、必ず収量や品質に回ってしまいました。今は、社員が主体なので
逆に、なるべく平日に、着実に行う方法に変わりました。最初の頃は、5回目
のカグラモチだけ、遅らせていたのですが、最近の地球温暖化で、コシヒカリ
の田植えも、あまり早くすると品質が落ちるので、今までは考えもしなかった
4月中旬に、種まきをすることになりました。だから農作業も、種まきチーム
トラクター作業チーム、田植えチームと、同じ時期に違う作業を同時に行いま
す。私は、目が回りますが、一つ一つの作業は、丁寧確実になります。

 さてその前半3回の種まきの浸水作業ですが、厳格に決められたカレンダー
通りに粛々と行われます。林さんちの浸水用の水槽は、プラスチックパイプで
枠を組んだビニル水槽です、一つ1000リットル。最初、エコホープ200
倍液って、どうすりゃいいの?で、思考停止。最初、1000リットルの水に
5リットルのエコホープに浸ければいいじゃん!と考えたが、待てよ、種籾入
れたら溢れるよね、、と気付き。1回の種まきで使用する340キロの種籾っ
て、一体どれだけの容量なの?しかも、種籾が水を吸うから減るよね、、とい
ろいろと試行錯誤の末、結局600リットルの水に3リットルのエコホープを
入れることで解決しました。最初の頃は、ラベルの手書きの試作品だったので
現場での対応も手探りでした。

 しかしエコホープで解決できる症状は、種籾の病気のごく一部だけです。ま
あ効き目の弱い漢方薬のようなものなので仕方ありません。でも、かつて化学
合成農薬を使っていた頃には、気付かなかった症状が、かえって苗の品質を急
激に向上させることになります。それは「雑菌」です。種籾についた雑菌で、
水に浸けておくと、なにやら腐植臭がしてくるのです。しかも、なにやらヌル
ヌルして来て、それが種まき機に詰まって上手く播けない。こいつはマズイと
いうことで、今は、2日おきの水替え時に、手でもみ洗いして洗い流していま
す。しかし、このヌルヌルを調べたところ、腐っているのではなくアブシジン
酸と呼ばれる「発芽阻害物質」であることが判明。それからは、鬼のように種
籾を洗うようになりました。おかげで、それまで発芽不良だったのがウソのよ
うに綺麗に芽が出るようになりました。

 化学合成農薬を使っていた頃は、薬でソコソコ抑えられていて分からなかっ
た症状ですが、30年前に、現在の方法にほぼ変わった時点から、きっと発芽
阻害物質の影響があり、上手く芽が出ていなかったことが判明しました。芽が
出ないので、泡風呂の催芽の時点で、とにかく芽を長く出して播いていました。
すると長い芽や根が機械に、引っ掛かってしまい綺麗に播けません。でも「発
芽阻害物質」を洗い流した種籾は、すごい短時間で芽が出てくるので、要注意
で最初の頃は、加減が分からずモヤシのような種籾を作ってしまいました。今
は、軽く芽を出して泡風呂の温度を下げます。すると、どこにも引っ掛からず
に綺麗に播くことが出来ます。

 しかしこの全ての問題を解決するスーパー種子消毒法があります。それが、
「温湯消毒法」60℃のお湯に、種籾を数分浸けると、病気の菌も、雑菌も、
そして「発芽阻害物質」も、無くなってしまうのです。しかも無農薬!ただ
し、この方法は、リスクがあり、少しでも温度や時間を間違えると、効かな
かったり、芽が出なかったりします。しかし、昨年から野々市町稲作受託組合
で、自動温湯消毒機を購入!昨年は、超コシの種籾80キロを処理。今年は、
4回目のコシヒカリの種340キロを処理予定です。上手く行きますよ〜に!

 とにかく1年の稲作の成否は、この種籾にかかっていると言っても過言では、
ないと感じています。綺麗に芽が出た時点で、今年の稲作の成功は、50%約
束されたようなものです。次は、その高品質の苗で田植えが成功すれば80%
約束されます。結局、人間が、どうのこうの出来るのは、残りの20%、ここ
からお天気の要素を引けば、ほんの数%。その数%の作業で、稲は自動的に、
どんどん大きくなって行くのですから、私は、神様に感謝しても感謝し切れな
いと感じています。そして、今が、まさにその数%しかない勝負の時です。

           ↓そんな林さんちのお米はこちら↓
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3、農と食を繋げる人

先週からの続きです。3つ目の任務である辰巳芳子先生の案内係のお話です。
辰巳先生が、3月14日の昼食に合わせて、会場の芦ノ湖キャンプ村にいらっ
しゃるということで、担当の8期生のhttp://www3.ocn.ne.jp/~gensan/風来の
源さんこと西田君から、出来れば午前11時には、到着したいという要望があ
りました。林さんちから芦ノ湖までは、500キロ、逆算すると午前5時出発。
なんとか11時過ぎには到着。12時ちょうどに、辰巳先生が到着。そこから
は、源さんが密着マークで寄り添います。御歳84歳、まだまだお元気ですが、
さすがにキャンプ村は起伏が多く、源さんが腕を取って階段の上がり下がりを
手助けしました。

 そしていよいよ昼食後、大豆100粒運動に準じた大豆栽培を通じ行った「
育みの実践」研修の各クラス発表です。しかし、各地区で見たクラス研修での
発表に比べ、かなりテンションが低い。原稿はカミカミ、寸劇にしてもグダグ
ダ状態でした。あ〜ヤバイなぁ〜と感じましたが時すでに遅し。実は、彼らは、
この発表の前に、「坂の上の雲」の演劇研修を終えたばかりだったのです。私
の経験でも、演劇研修の後、しばらく塾生はチャクラを使い果たして復帰でき
ません。ちょうど、その時に辰巳先生への発表になってしまったのです。

 私は、少し離れたところで、見ていましたが横に居た源さんは、辰巳先生が、
明らかに怒っている雰囲気を感じ取り、冷や汗だらりだったそうです。そして
塾長の講評でも、実に呑気な発表であったと辛口のコメント。そして辰巳先生
の講評は、「なんとヤワな発表でしょうか?発表内容も、発表態度も、フラフ
ラしていて体が通っていません!私が、行っている大豆100粒運動の小学生
中学生でも、1粒から50〜70粒は、育てることが出来ます。そんなヤワな
取り組み姿勢でよろしいのでしょうか?」と実に静かな口調で、しかし、かな
り怒っておられることが、明白なご様子。

 今回の大豆栽培を通じ行った「育みの実践」では、あまり栽培に関して指導
をしませんでした。それは、失敗の経験こそが、唯一身に付く経験だからです。
だから、結果は、予想通りでしたが、辰巳先生には、発表内容、姿勢を含め、
まったくダメだったようです。辰巳先生が、講評している間は、会場が凍り付
いたようになっていました。私も、久しぶりに、体の芯に何かを刺されたよう
な感覚に陥っていました。辰巳先生は、戦後の食糧難を通じ本当に苦労されて
来たことを話し、その上で生半可な気持ちで取り組んで欲しくないということ
を話されました。食に携る者の一人として、真摯にその言葉を受け止めました。

 そしてその後、15日箱根会議までの会場とホテルの送迎は、全て私の役目
でした。しかし、私の愛車ステージアを見て、辰巳先生「あら!立派なお車ね」
と一言「農業者もこれぐらいの車に乗って欲しいと思いますのよ」と気に入ら
れたご様子。車中では、会場での厳しいお顔から一転、我々農業者と、どうや
ったらこれからの農業を食を良くすることが出来るのかを、辰巳先生の経験談
も含めて、ご機嫌で話されました。だから、片道30分ほどの道中は、話が弾
んで、あっ言う間の輝いた時間になりました。

 ただし、箱根のワインディングロードを、最高時速40キロでノロノロ運転
だったので、大名行列での走行でした。なにせ、急カーブで、首カックンなん
てなったら大変です。今までで、こんなに丁寧に走ったことが無いほど気を使
いました。翌日は、ホテルにお昼にお迎えに行くと、辰巳先生から「お茶でも
ご一緒にどうですか?」の連絡。当然、喜んでホテルでコーヒーをいただきま
した。無遠慮ついでに、記念撮影までお願いしました。いずれも、ご機嫌で、
「せっかくなので、あの赤い車の前で撮りましょうよ」とおっしゃってくれた
ので「ハイ!分かりました!」とホテルのスタッフの方に撮ってもらいました。

 そしてとにかく、案内係りの当の本人達が一番、どんな凄い方なのか知って
いないのは明白でした。私の嫁さんも源さんの奥さんも、あんたら、どんな凄
い方か分かってるの!と言われては来ましたが、ホテルの支配人、料理長さん
も、最敬礼で迎えられ、さらにピッタリ担当の方が寄り添って来ます。行く先
々で、皆さん、会う方会う方全てが、感動して挨拶されます。そんな状況を見
ながら、確かに嫁さんの言うとおりだなと痛感しました。でも、一番、凄さを
感じたのは、車中での先生のこれからの農や食へのお話でした。特に、農に関
しては、本当に素晴らしい応援団だと感じました。農と食を繋げる人がいる。
私は、そんな力が必要だと思ってます。そして、私もそんな力になりたいと思
い頑張っていますと、何度もおっしゃっていたのが今でも耳に残っています。

林さんちの商品注文はこちら→http://www.hayashisanchi.co.jp/cargopro/

            平成20年度      新米発売日
超普通じゃないコシヒカ 228袋/374袋 61%    9月24日
普通じゃないコシヒカリ 212袋/515袋 41%    9月12日  
普通のコシヒカリ    313袋/659袋 48%    9月12日    
ハナエチゼン      34袋/175袋 20%   8月21日
ひとめぼれ        91袋/286袋 31%   9月 8日

敬白
「あぐらぐち」とは、我が社の志高きプロバイダー氏が、名付けた、
「ホームページといういろりばたで、あぐらをかいて、話でもしまいけ」と
いう意味で名付けられました。
妙ですが、オリジナリティーがあって、私は気に入っています。
なお、「こんなメールマガジンいらないよ」
「HPの日記読んでるからいらないよ」と言う方は、
そのまま送り返しください。こちらで、リストから、外します。

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