林さんちの考え


林さんの目指すもの

都市部の棚田を守る

林さんちは、石川県のほぼ真ん中、霊峰白山を望む加賀扇状地にあります。金沢市の南側に接し住宅地のど真ん中で経営しています。田んぼも小さくて大きな機械も使えず農業に適した地域とは言えません。しかしなぜそんな地域で農業経営をしているのか?

実は、都市部の農地も山間地の棚田同様に、都市を守る多面的機能を持っているのです。最近では、周辺で宅地地化が進みちょっとした雨で洪水が起きるようになりました。そんな大事な都市部の棚田を守って少しでも地域の保全に役に立ちたいと願っています。さらに「身土不二」「地産地消」と言った言葉のように小さな田んぼと言えども地元で栽培した食材を食べるのが一番です。

そこでこんな地域での農業経営を成り立たせるために知恵を絞って来ました。昭和60年には、当時まだ高価だったパソコンを導入、昭和63年にはいち早く法人化、マーケティングの手法を取り入れさらにインターネット販売等々を行い農業経営を続けています。

農業経営は、結局田んぼが小さいとかやり難いとかではないのです。都市部の棚田を守ろうという思いこそがエネルギーです。


食と命の大切さを伝える

林さんちは、平成4年に農業で天皇杯をいただきました。

日本には、天皇杯が25個あります。そのうち7個が毎年、農業者や団体に贈られます。そのことは、「封印された天皇杯受賞」にあります。ところがそこでトンでもないことをしでかしてしまします。そのことをキッカケとして「食と命を伝えること」が私の志であると気づいたのです。

今の日本農業を良くするのは、農業政策でも補助金でもなく「食育」だと信じて幼稚園や小学校に食育授業「林さんちの世界一分かりやすい食育授業」、食育授業の動画を年間30回ほど行っています。さらにいくつかの幼稚園と小学校で稲作体験学習も行っています。平成8年から行っているので当時の子供達も大人になりました。しかし大きくなっても私の教えを覚えていてくれていることを知ることが多くなりました。

これからもこの志を大切にまい進して行きます。


林さんちは「かかりつけ農家」

林さんちは、平成4年に農業で天皇杯をいただきました。

平成23年3月11日の東日本大震災が大きな爪あとを各地に残した翌日から林さんちの通販サイトや注文電話が大変なことになりました。急に関東地域のスーパーやコンビニからお米が消えたのです。地震と津波で流通がストップしたので備蓄に皆さんが走った結果です。そして林さんちにお米の注文が殺到したのです。しかもその注文が尋常ではなかった。

玄米30キロ袋を10袋とか5キロ白米袋を20袋とか、、通常は、1~2袋のお米を大量に備蓄しようとされるのです。そのような注文をされる方の多くは初めてのお客様でした。林さんちのお得意様は、そんな喧騒をよそに通常の買い物をされていました。そこで大量注文をされるお客様一人一人に「そんなに大量のお米は狭いマンションで備蓄すると来年には虫が沸きますよ」と説得。さらに一人のお客様に買い占められると他のお客様に迷惑がかかりますので適正数量にしてもらいました。そんなことが1ヶ月ほど続き落ち着いて来た8月3日の夜。NHKでセシウム汚染の報道がされました。翌日、危機感を持って早朝出勤をしたところネット注文がとんでもない数が来ていました。その後1ヶ月間は、震災後同様の対応を迫られました。しかも在庫も底を突き本当に新米が収穫されるまでの3週間の長かったこと。

その時に私の友人の農家さんが「かかりつけ農家を目指している」と言っていたことを思い出しました。「かかりつけのお医者さん」がいるように「かかりつけ農家」を都会の人達が一軒づつ持てば何かあった時の不安も無くなるはずです。実は、震災後に在庫がもう底を突きそうなって究極の判断としてお得意様にだけナイショの買い物カゴをお教えして対応していました。お米を生産している農業者として全てのお客様にお届けできないというのは屈辱的なことでしたが「かかりつけ農家」としては、その判断もやむを得ないと考えました。

震災後は、有事の際に備え在庫も多めに持っています。売れないで古米になって安くお米屋さんに引き取られるリスクもあります。しかし「かかりつけ農家」としての責任はとても重いのです。

もし良ければそんな林さんちを「かかりつけ農家」にしてください。


最後に


23世紀型お笑い系百姓

林さんちは、23世紀型お笑い系百姓を目指しています。

なぜ23世紀か?

それは、自然と共生している民族、アイヌ、インディアン、アボリジニ、イヌイット、これらの人達は、物事を決める時は、孫の代のことを考えて決めるそうです。インディアンは、重要な決定は、7世代先のことを考えて決めるとのこと。

今の21世紀に生きる我々は、明日のことを考えるのに精一杯の日々を送っています。ましてやこの時代に農業の大切さ重要性に気づいて生活している人は少ない。今の日本では、絶滅危惧種のような農業者ですが23世紀には、絶対に日本で必要な産業の一つとなっていると考えています。

そんなことを誰も考えていないかもしれないけど未来の食の危機に備えて林さんちは、農業を続けています。200年後の人類にそして日本人に昔そんなことを考えて頑張った農業者の存在を知ってもらいたいと願っています。

しかぁ~~し!

そんな難しいことをしかめっ面してやっていたのでは、誰が付いて来るでしょうか?

林さんちでは、チャーミングに楽しく農業を、、いや百姓をして行きます。

林さんちに課せられた使命は重いのです!